こんにちは、パパサラリーマンのTK(TK@パパサラリーマン)です!
超回復理論という言葉は、体を鍛えている人であれば聞いたことがない人はいない!というくらい有名な理論ですね。
その内容はというと、「体にトレーニングの刺激を与えると、一時的にパフォーマンスが低下するが、適切な回復を取ることで元よりもパフォーマンスが向上する。」という非常にシンプルなもの。
TK
しかし、トレーニングといっても様々な能力を鍛えており、それに対する身体の複雑な反応を「一時的に低下してその後より強くなる」の一言で済ますのは多少無理があるというもの…
そこで現在はフィットネスー疲労理論とその応用がメインになっています。
TK
体の反応を理解し、適切にトレーニングと回復をしていきましょう!
目次
超回復理論とは?
簡単に分かる超回復理論
- 体にトレーニングの刺激を与えると、一時的にパフォーマンスが低下するが、適切な回復を取ることで元よりもパフォーマンスが向上する。
- しかし、時間が経つと元の体力に戻っていく
- 元よりパフォーマンスが高まっているタイミングでトレーニングを繰り返すことにより、徐々にパフォーマンスが向上していく
適切に超回復ができている場合
超回復が理想的に実行されている場合は、図のように元より高いパフォーマンスになり、再度刺激を与えることで徐々にパフォーマンスが高まっていくと考えられています。
この回復の時間は刺激の大きさや年齢・トレーニング歴にもよりますが、48〜72時間程度と言われています。
回復が少なすぎる場合
次は回復が不足している時です。
十分に回復する(パフォーマンスが高まる)前に再度トレーニングを行なっているため、徐々にパフォーマンスが下がってしまっています。
回復が長すぎる場合
今度は回復が長すぎる場合。
1回目のトレーニングではパフォーマンスの下降が始まっているため、『一番おいしいタイミング』を逃し、トレーニングの効率が悪くなってしまっています。
2回目に至っては、元に戻るまで休んでしまったので、全く成長できていません…
超回復理論の問題点
超回復理論は非常にシンプルで、疲労やパフォーマンスを全てまとめて1つのパラメータ(変数)として扱っています。
シンプルすぎるために、身体の複雑な反応を表現しきれていないという問題があります。
例えば2番目の回復不足の例。
では、「合宿などで連日2部練習をした場合、前日の疲れが残っている状態でトレーニングをしているので、パフォーマンスは低下する一方なのか?」
何度か練習を繰り返した後、長い休養をとった場合、①大きく回復する ②最後のトレーニングの前に近づく もしくはスタートの0ラインに近づくのか。(もちろん経験則により現場では分かっていますが、ここでは理論として不足しているという話です)
また、①のように大きく回復するとして、
- その時間はどの程度とったら良いのか?
- 元の理論では48〜72時間の回復であったが、それと同レベルで良いのか、もっと長い時間が必要なのか、
など。
48〜72時間の回復が適切でその後は元の体力に近づいていく、という点に関しても、週末のみの練習である程度までマラソンが速くなっていくランナーを見かけた人も多いと思います。
ヨメ
TK
フィットネスー疲労理論について
一方でフィットネスー疲労理論とは、その名の通り『フィットネス』と『疲労』という2つのパラメータがあります。
簡単に分かるフィットネスー疲労理論
- フィットネスと疲労の2つのパラメータがあり、フィットネスから疲労を引いたものがパフォーマンス
- トレーニングをすることで、フィットネスはプラスに動き、疲労はマイナスに動く(どちらも時間が経つと0に近づく)
- フィットネスの変化はゆっくり、疲労の変化は早い
図で表すとこのようになります。
- 黄色の線の疲労はトレーニング後にすぐにマイナスに働くが、回復するのも早い
- 青の線のフィットネスは、トレーニング後に適応まで時間がかかるが、落ちるのも遅い
- フィットネスから疲労を引いた緑の線がパフォーマンス
この線を見て一部の人は見覚えがあるかもしれません。
CTL、ATL、TSBの考え方はフィットネスー疲労理論
そう、TSSでトレーニングを管理している人がよく見るCTLなどの考え方は、フィットネスー疲労理論に基づいています。
そこに入力されるトレーニングの負荷がTSSですね!
CTLなどについてはこちら。
トレーニングは時間や距離でなくTSSで管理しよう!超回復理論とフィットネスー疲労理論の違い
ヨメ
TK
例えば先ほど出た合宿の例。
フィットネスー疲労理論なら、『連日追い込んだから疲労がどんどん溜まりパフォーマンスも落ちていく…でもその間にフィットネスは高まっているし、フィットネスが落ちるよりも疲労が抜ける方が早いから、しばらく休めばパフォーマンスの向上を実感できるはずだな!』と分かるわけです。
そしてピーキングにおいても、フィットネスー疲労理論なら『事前にフィットネスを高めておいて、フィットネスを落とさず、疲労が抜ける程度に練習量を減らしていこう』というテーパリングの考え方ができます。
テーパリングとピーキングについてはこちら。
テーパリングとは「大会の前に練習を徐々に減らす事」 ピーキングとの違いは?一方、超回復理論に基づくと「大会の2〜3日前にがっつり追い込めば、当日には超回復でベストパフォーマンスが発揮できる」ということになります。
そんな人、あなたの周りにいますか?いませんよね?
もしいたら、、、そっと教えてあげましょう。
「やめておけ…」と。。。
ちなみに私は数年前の蒲郡トライアスロンで2日前の金曜日に強めに負荷をかけて見てレース当日に超回復で調子が上がってくるか!?と実験したこともあります。
TK
ヨメ
TK
この横浜トライアスロンの失敗例もフィットネスー疲労理論なら説明もしやすいですね!
- 宮古島トライアスロンの前はピーキングをしているので、若干フィットネスを落としながら(極力低下を抑えつつ)疲労を抜く。
- 疲労が抜けた宮古島トライアスロンではパフォーマンスが高いが、レース当日に大きな負荷が体にかかる
- その後3週間、休み続けることでさらにフィットネスが低下しているので、疲労が抜けてもパフォーマンスは発揮できない
だから大きなレースは立て続けに出るのではなく、コンディションの立て直しが必要なんですね!
フィットネスー疲労理論の応用
ヨメ
トライアスリートなら誰でも経験はありますし、特にフィットネスー疲労理論(TSSやCTL)で管理をしている人なら「スイムで疲れてることになっていてアプリは休めと言うけど、普通に走れる」といった経験もあるでしょう。
フィットネスー疲労理論も万能ではない点があり、それは『トレーニング負荷』や『フィットネス』をひとまとめにしてしまっており、体の部位の違い・種目の違いまでは判定できないこと。
バイク単独の人などはパワーから正確に負荷を測定でき、種目も1種類だけならコントロールの精度がかなり上がりますが、トライアスロンではそう簡単にはいきません。
全種目の合計だけでなく各種目単独とバイク・ランの合計にも着目してみる
TK
ここをチェックしてみよう!
- 全種目合計の数値
- 各種目単独の数値
- バイクとランの合計数値
①全種目合計 ②各種目単独 はTraning Peaksなどで最初から見れるのですが、私はそこに『バイク+ラン』の数値も見れるように設定を変えています。
理由は単純で、この2つの疲労する部位が比較的似ているので、『2つの合計値が疲れている時はバイクとランを避ける』としておけば、『バイクで疲労しているけどランの疲労数値は低い』と言うことはなくなります。
全種目合計の数値が高い時は病気に注意
ヨメ
TK
『激しくトレーニングしている時は免疫が低下し病気になりやすくなる』と言う話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?
この免疫力の低下は全ての負荷の合計、つまり全種目合計のCTLが高いほど影響が大きいと言われています。
それだけ練習量を増やせば体脂肪率も多少低下している可能性もあり、風邪などひきやすくなるため、追い込み時期からテーパリングにかけては特に気をつけたいですね!
厳密には各能力ごとにも負荷に対する応答のプロセスがある
筋肉の部位によって疲労や回復、パフォーマンスがあるように、VO2maxや脂質酸化能力などにもそれぞれ応答のプロセスがあります。
次の表はトライアスリート・トレーニング・バイブルより、トレーニングを3週間中断した結果です。
VO2maxや乳酸閾値のように7〜8%のものもあれば、脂肪利用割合のように半減しているものまであります。
フィットネスー疲労のグラフでいうなら、疲労は変化が早くフィットネスは変化が遅いと書きましたが、フィットネスの中にも変化が早いものと遅いものがあるということですね!
そして各能力の変化にも早さの差があるように、各能力の回復能力にも早さの差があると考えられます。
イメージしやすく言うと、筋肉を追い込んだら翌日まで回復せずに動きが悪いことは多々ありますが、スイム・バイク・ランのどの種目でも追い込んでいる呼吸器や循環器で調子が悪いと感じることは少ないのではないでしょうか?
(生命の維持に関わる器官は簡単には疲れれないし回復も早いのでは?と言う感じです)
なので、
- VO2max領域で心肺を追い込んだら、
- その回復プロセス中は最大筋力に負荷をかけて、
- 下半身が筋肉痛でも心肺が回復しているならスイムで再度心肺を追い込んで…
といったように、能力や部位をローテーションしながら追い込むのも1つの方法です。
(もちろん、1つのトレーニングで1つの能力や部位しか鍛えれないなんてことはなく、強弱の差はあれど色々な能力・部位を鍛えていますけれど)
回復が早い部位は連日徹底的に追い込んでみる
先ほど『スイム・バイク・ランのどの種目でも追い込んでいる呼吸器や循環器で調子が悪いと感じることは少ない』と書きましたが、
TK
と言うことで、2週間程度の期間でVO2max領域で心肺に負荷をかけるインターバルを高頻度で実施したこともあります。笑
クラッシュサイクルでFTPの向上を目指そう!2週間もやっていると流石に横隔膜の動きが悪いと言うか…高負荷で酸素が欲しい時に上手く息が吸得ないような感覚になりました。
それくらいに負荷をかけて、回復のプロセス中は低強度・長時間で資質酸化能力や毛細血管の発達などを狙っていく、と言う短い期間での高強度・低強度入替えもやってみると面白いですよ!
ただし、2週間高強度のインターバルを高頻度で実施すると言うのは結構キツイです。
まとめ
超回復理論は分かり易く、トレーニングを始めたばかりの初心者の方が「鍛えたら休む」と意識するためには有用です。
一方で、シンプルすぎるために上級者が連日負荷をかけたりピーキングをしたりと言う際には誤った認識になりかねない側面もあります。
それをより正確に反映した理論としてフィットネスー疲労理論があり、鍛えることでフィットネスが上がるが疲労も溜まってパフォーマンスは落ちる、しかし疲労が抜けた時に自分のパフォーマンスが十分発揮できるようになると言う原理が分かりやすくなります。
さらに、フィットネス・疲労と回復のプロセスは体の部位ごとや能力ごとにも応答の速さが異なるため、そこまで意識すると、さらに効率よく成長する練習が組めそうですね!
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