こんにちは、パパサラリーマンのTK(TK@パパサラリーマン)です!
トレーニングをしていると、『トレーニングの記録は量や時間よりもTSSがいい』ということを聞いた人も多いのではないでしょうか?
TSSとは、簡単に言えば『量と質の両方を考慮した指標』です。
ロングライドで5時間乗った日の翌日は疲れますけど、高強度で1時間半頑張った日の翌日もやっぱり疲れますよね?
そのように距離の記録だけでは見えない疲労やトレーニング効果を表すのがTSSでの管理になります。
トレーニング管理として非常に役立つTSSですが、いくつかの注意点もあります。
ただアプリを使うのではなく、メリット・デメリットを理解して効果的に利用しましょう!
TSSに関する用語
まずはTSSに関する用語の意味を知っておきましょう!
計算方法は以下の記事を参照してください。
※ちなみに4乗根とかEXP(-1/42)とか出てきます。数式が苦手な人は各用語が表す意味だけ知ればとりあえず大丈夫です。
TSS(トレーニング・ストレス・スコア)
トレーニング時間 × IFの2乗 × 100 で表されます。
ちなみにIF(強度係数)は、簡単に言えばFTP(1時間発揮できる最大パワー)に対してどれくらいの割合の強度で運動していたかを表しています。
- 例1)1時間、FTPで(つまりIF=1.0)で運動した場合
→TSS=1×1.0の2乗×100=100 - 例2)2時間、FTPの70%で(つまりIF=0.7)で運動した場合
→TSS=2×0.7の2乗×100=98 - 例3)4時間、FTPの50%で(つまりIF=0.5)で運動した場合
→TSS=4×0.5の2乗×100=100
これらの3つの運動は体に掛かる負荷がほぼ同じということが分かるかと思います。
CTL(長期トレーニング負荷)
CTLは練習の量と強度の両方を考慮して、長期間に渡ってどの程度のトレーニングをしてきたかを示しています。
ここで言う長期間は一般には過去42日程度で計算されます。
追い込み時期では高めの値となり、風邪を引いて数日休めばどんどん下がります。
TK
ヨメ
TK
CTLが高い=速い、ではない
こうやって数値管理しているとついつい陥りがちなのが、
「とにかくTSSを稼いで、CTLをあげよう!」
「1日休んだらCTLが下がっちゃうから運動しないと…!」
と言う発想。
注意すべき点は、CTLが高いことと速さがイコールではないと言うこと。
CTLはどちらかと言うと「疲労の受け皿の大きさ」のようなものだと思っています。
- CTLが高いほど、1日あたりのTSSが高くても耐えれる
(言い換えると3日間の合計、1週間の合計TSSを高くできる) - CTLが高いほど、同じTSSの練習なら1日休んだ時の疲労回復が大きい
- 合宿や長距離レースで追い込み切った時は、CTLが高い人ほど疲労の溜まり具合も大きく、全回復に時間がかかる
(テーパリングの期間もレース後の回復もCTLが高いほど長い時間が必要)
だから基礎期にまずは体の基礎を作ってCTLを高め、強化期で高強度の割合を増やしても体が耐えれるようにしておく期分けが重要になるんですね!
一方で受け皿が大きくなると言うことは、全部の水(疲労)を抜くのも時間がかかると言うこと。
IRONMAN前の追い込み期間などはかなりの練習ボリュームになると思いますが、その時の練習度合いに応じた疲労抜き期間が重要です!
TSB(トレーニング・ストレス・バランス)
現在の『体調』を表しています。
CTLとは逆に、追い込み時期ではマイナスの値になりと、風邪を引いて数日休めばどんどん上がっていきます。
なぜTSSで管理したほうが良いか
初心者の場合は頻度よく練習すれば成績が上がる事が多いので、スケジュールに書き込んで1ヶ月どれくらい埋まったか見るのもいいでしょう。
中級者の場合はとにかく量をこなしていれば成績が上がる事が多いので、時間と距離をアプリに記録して1ヶ月毎に合計量を見ても良いでしょう。
時間と速さだけでなく、インターバルなども反映される
でもそれ以上のレベルを目指そうと思ったときや、練習時間の確保が難しくて短時間でレベルアップしたいときなど、高強度のインターバルなどを取り入れる必要が出てきます。
そんな時に、TSSで管理していたほうが、トレーニングの負荷を正確に把握できます。
頑張ったつもり、でも実際は負荷が低いことも気づく
TK
そんなことをやったことがある人も多いのではないでしょうか?(いや、多くはないか。)
でも1日めの疲れで2日めはヘロヘロ、平均ではFTPの半分くらいしか出ていない…なんてことになる人も多いと思います。
上記のTSSの計算であったように、FTPの半分で4時間運動した時のTSSは、1時間必死に運動した時のTSSと同等になっていました。
このように、距離だけで管理したら頑張ったように見える連続ロングライドも、強度が落ちすぎたら時間効率が悪いということが分かります。
レースのピーキングが数値で見れる
レースに向けた疲労抜きとパフォーマンスを落とさないバランスは多くの人にとってなかなか解決できない課題になっているのではないでしょうか?
それもCTLやTSBを見ていれば、どの程度疲労が抜けてきたか、どの程度の体力低下は許容範囲かなどを客観的に把握できます。
また、レースまでのトレーニング予定を入力してみれば、レース当日のCTL・TSBがどれくらいになるか分かるため、それで疲労が溜まっているようならトレーニングを減らすなどの事前対策にも役立ちます。
TSSで管理する方法
TSSは計算が少し複雑なため、毎回iPhoneや関数電卓で計算するのは非常に効率が悪いです。
そこで、一般的にはExcelに計算式を組んでおくか、有料ですがTrainingPeaksに登録して管理をすることになります。
おすすめはガーミンなどのデータからそのまま連携して計算してくれるTrainingPeaksです!
Excelなどを用いて計算する
Excelで計算する場合、『じてトレ』さんのサイトに有るシートを利用するのがオススメです!
引用元:http://www.jitetore.jp/contents/fast/list/201205250700.html
こんな感じのExcelがダウンロードできます。
私はこのTSS入力欄をスイム3列・バイク3列・ラン3列にして、合計値でCTLなどが出るようにしていました。
Excelの問題点
無料でできるのですが、いくつか問題点があります。
- 入力が手間(しかもパソコンが必要)
- ランとスイムはパワー計測できないため、スピードなどから擬似的に計算しないといけない
何より1につきます。笑
スマホで入力できないので、ちょっとした空き時間に入力とはいきません。
その時間を掛けるなら練習時間を確保したいということもあって、半年くらいでTrainingPeaksに登録してしまいました。
2について、私の場合は、
- 1時間あたりの最大速度を計る
例)スイム3,800m/時間、ラン16km/時間 - それとトレーニングの速度比の2乗を取る
例)時速15kmで1時間走ったなら、(15/16)の2乗×1時間×1.33=117 - これをアップ&ダウン、メインメニューで分けて計算する。
例)アップとダウンが時速10kmで20分なら(10/16)の2乗×(1/3)時間×1.33=17
この日のTSSは117+17で134
としていました。
ちなみに1.33はランニングTSS(rTSS)を計算する時の係数です。
これをスイム・バイク・ラン…
我ながらよく入力していたなぁと思う面倒くささです…
TrainingPeaksに登録する(おすすめ)
月額制ですが、便利すぎます!
- Garminのデータなどから自動連携
- パソコンからもスマホアプリでも見れる
- 月間や週間の合計距離・時間・TSS・IFなどが分かる
- ゾーン別の練習時間やパワープロフィールも分かる
Garminのデータなどから自動連携
何より自動連携が楽です。
ちなみにスイムなどプールでGarminが着用禁止の場合、あとから距離と時間を入力すれば、ペースからTSSを算出してくれます。
※Garminで計った場合、スイム全体の平均速度でTSSを計算してしまうので、アップ&ドリル&ダウンとメインは分けて記録しておいたほうが、より正確なTSSを算出できます。
パソコンからもスマホアプリでも見れる
普段はスマホで確認して、色々なデータを確認したい時はパソコンの大画面で、など使い分けができます。
月間や週間の合計距離・時間・TSS・IFなどが分かる
私のトレーニング管理記事にも写真を載せていますが、週間や月間でのまとめが便利です!
今月の合計はスイム・バイク・ラン・3種目合計、それぞれで表示できます。
また、Excelと違って月間のIFなども分かるため、『今月は先月よりも全体的に強度が高かった』なども把握できます。
週間でも各曜日にどれくらいの時間・TSSのトレーニングをしたかが分かります。
ゾーン別の練習時間やパワープロフィールも分かる
各ゾーンでの練習時間も分かるため、『L3以下ばかりでやっていてL5はサボっている』などもひと目で分かってしまいます。笑
また、パワープロフィール(5秒、30秒、5分、20分、1時間などの最大パワー)もまとめられるので、自分がどこが強くどこが弱点かなども分かってしまいます。
うまく使えば効率的に強くなれます!
TSSによる管理の注意点
もちろんTSSによる管理も完璧ではなく、欠点となる部分もあります。
それらを知っていると知らないとでは数値の管理にも差が出るので、しっかり把握しておきましょう!
厳密には短時間高強度と長時間低強度で鍛えられる能力は違う
TSSではFTPの100%で1時間と、70%で2時間はほぼ同じTSS:100になりました。
ところが、厳密にはトレーニングのゾーンによって重点的に鍛えられる能力は違います。
- L3:筋グリコーゲン貯蔵量の増加
- L4:乳酸閾値の向上
- L5:Vo2MAXの向上
なので、『とにかくTSSを稼げばいい』ではなく、弱点を鍛えるメニューを組む意識も必要です。
スイムで脚を休めても負荷はひとまとめになる
バイクだけなら問題ないのですが、トライアスロンへの応用はまだ検証段階とも取れます。
- 日曜日にバイクでTSS:200
- 月曜日はスイムでTSS:100をやり、脚は休ませる
- 火曜日にランのポイント練習、TSS:150
- 水曜日はスイムでTSS:100をやり、脚は休ませる
この場合、月・水曜日のスイムで脚は回復しているのですが、TSSの合算ではどんどん疲労が溜まることになったりします。
出力以外の負荷は計算されない
例えば、週末にロングライドに行った時に横風がものすごく強く、バランスをとるのに体幹などの筋肉を使うこともあります。
また、ランでは向かい風が強く、頑張ってる割にペースが上がらないこともあります。
それでもTSSの計算に関わるのは、バイクならペダルにかかった力、ランならスピードのみです。
トレーニング以外の負荷は計算されない
人によっては仕事が肉体労働で、かなり動き回る・重い荷物を運ぶなどすることもあるかと思います。
でもその様な『トレーニング以外の負荷』は計測されません。
なので、『トレーニングとしては疲労抜きなのでTSBは上がっているが、実際は仕事で疲れている』ということもあります。
回復に関わる数値がない
過去のトレーニング内容だけで計算されるので、睡眠不足・栄養が偏っている・加齢で回復が落ちるなどは考慮されていません。
数値にとらわれ過ぎない
TSSを稼いでCTLをあげるだけなら、FTPの70~80%あたりでひたすら量を稼ぐのが一番上がります。
でも実際には、個人の弱点を強化したほうが成績が向上することも多いです。
ただ他人と競ってTSSを稼いでCTLを上げるのではなく、各自で追い込み時期の目標値などを決めて、強度管理をするくらいの使い方のほうが効果的に扱えるでしょう。
まとめ
トレーニングの管理は、時間や距離だけでなく、TSSも用いることでより正確に体への負荷が記録できます。
また、CTL等のデータを使えば、過去の自分と比べてもどれくらい練習が積めているかも把握できるので非常に便利です。
体力と疲労が客観的に可視化できるのはレースにおけるピーキングでも非常に役立ちます。
でも気をつけなければならないのは、やはりTSSも完璧ではなく『一つの指標』にすぎません。
データは有効に活用して、効率的に強くなりましょう!
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