運動と糖質制限【持久力トレーニングの効果を高める糖質の摂り方とデメリット】

寝る女性

こんにちは、パパサラリーマンのTK(TK@パパサラリーマン)です!

持久力トレーニングの効果を高める食事方法として最近よく聞くようになってきた方法、
Training-Low, Compete-High 法、Sleep-Low 法

書いて字の通り、トレーニングは低く・レースは高く・寝るときは低く、ですね!
実施することで糖輸送体やミトコンドリアの遺伝子発現が活性化されるという研究報告があります。

今回は少しマニアックなその内容と、実施する際の注意点についてです。

持久トレーニングの効果を高める研究

「どんなトレーニングをすれば、どんな効果が出るか」

以前はそのような研究が多かったかもしれません。
しかし最近は、スポーツ科学の分野にも分子生物学が広まっています。

簡単に言えば、
「Aという細胞内の分子がトレーニング効果を生み出す上で重要な働きをしている。ならばそのAを活性化するトレーイングや食事にはどのようなものがあるか?」
という細胞や分子レベルでの働きが研究されています!

AMP依存性プロテインキナーゼ(AMPK)

早速難しい単語が出てきましたが、名前は覚えなくていいので、働きだけイメージしておいてください。笑

ATPという言葉を聞いたことがある人は多いと思います。
簡単に言ってしまえば、解糖系のエネルギー生成や筋収縮に使われる物質で、「生体のエネルギー通貨」とも呼ばれる重要な働きをしています。

そのATPの代謝産物がAMPです。
AMP濃度の増加(ATP濃度の減少)を検知して活性化するのがAMPKであり、それによってGLUT-4(糖輸送体)やミトコンドリアの遺伝子発現が活性化されるという流れになります。
糖の輸送やミトコンドリアは持久力に関わる重要な要素ですね!

糖輸送体とは?
糖は水溶性であり、血中に溶け込んでいる。しかし、細胞膜は水溶性の物質を通過させることができない。そこで「トンネル」の働きをして細胞内に通過させるのが糖輸送体です。

この段落のまとめ

ここまでを簡単にまとめると、以下のようになります。

  1. トレーニングをしてATPが使われる
  2. 代謝産物としてAMPが生成される
  3. AMPの増加を検知してAMPKが活性化
  4. AMPKによって持久力に関わる遺伝子が活性化

つまり、AMP依存性プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化させれば持久力の向上につながると考えられますね!

Training-Low, Compete-High 法

AMP依存性プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化させたいということは分かったので、次はその手段についてです。

AMPKはAMP濃度の増加(ATP濃度の減少)だけでなく、筋グリコーゲンの濃度にも影響を受けることがわかっています。
具体的には筋グリコーゲン濃度が高い時よりも低い時に運動をした方が、AMPKが活性化し、GLUT-4(糖輸送体)やミトコンドリアの遺伝子発現が活性化するという報告があります。

筋グリコーゲンが低い状態でトレーニングというと、「脂質代謝が良くなる」というイメージが強いですが、実はそのほかにもメリットがあるんですね!

よって、トレーニングは筋グリコーゲンが少ない状態で行い(Training-Low)、レースでは強度を上げるために筋グリコーゲンが高い状態で臨む(Compete-High)という方法が考えられます。

この方法の注意点は

  1. トレーニング時に筋グリコーゲンが足りず、強度があげれない
  2. 筋グリコーゲンが足りないと筋タンパク質の分解が進む

という点です。

タンパク質の分解に関しては、防止するためにBCAAを摂取してみるのも効果的かもしれません。

Sleep-Low 法

その欠点克服として挙げられているのが、Sleep-Low法です。

まずきちんと筋グリコーゲンを蓄えて高強度練習を行い、夕飯では糖質を摂取せずに筋グリコーゲンが低い状態を維持し(AMPKの働きが活性化し続ける)、朝食前に低グリコーゲンで低強度のトレーイングを行い、また朝と昼はしっかり食べるという流れになります。

Sleep-Low法の概要

これにより、単に低糖質化するよりもメリットがあります。

  1. 高強度練習は筋グリコーゲンが豊富でしっかり追い込める
  2. 筋グリコーゲンが低くAMPKが活性化する時間を作る
  3. 筋グリコーゲンが低い状態での持久トレーニングも実施

Sleep-Low 法の欠点

ここまで読んで、いくつか欠点に気づいた人もいるのではないでしょうか?

  1. 朝のトレーニングでは筋タンパク質が分解される
  2. 夜中、お腹空くのでは?手間が増えて食費も上がる?
  3. 朝晩の2部練を毎日やることが前提
  4. 回復が遅くなるリスク?

朝のトレーニングでは筋タンパク質が分解される

朝の低強度トレーニング時は筋グリコーゲンが不足している状態で実施されるので、筋タンパク質が分解されるというリスクはそのまま残っています。
(Training-Lowを実施する限り避けれないリスクではありますが…)

夜中、お腹空くのでは?手間が増えて食費も上がる?

夜に高強度のインターバルを実施し、その後に炭水化物抜き…
やっぱり練習後にはお米やビールが欲しいという人も多いかと思います。笑

そして「糖質」と一言でいっても、お米だけでなく根菜類などさまざまな物に含まれています。
夕食だけとは言え、徹底的にカットしようとしたら、作るのもなかなか大変ですよね…

また、炭水化物抜きで十分な食事を摂取しようとすると、その分食費が高くなるというデメリットもあります。

朝晩の2部練を毎日やることが前提

プロアスリートならともかく、サラリーマンアスリートには最大の壁がここかもしれません。

フルタイムで働く場合、

  1. 朝、低強度で1時間程度練習するためには5時ごろには起床しなければならない
  2. 6時間睡眠確保するには、23時には就寝したい
  3. 仕事後に高強度練習を実施して、食事などを済まして早く寝なければならない

独身で残業が比較的少なめなら可能かもしれませんが、家庭があったり残業が多い場合にはあまり現実的なスケジュールとは言えませんよね。

また、朝は低強度練習が前提のため、「朝スイムに参加していて高強度で追い込みたい」という時でも朝は筋グリコーゲン不足になってしまします。

しかし、1週間でも「運動時のエネルギー効率の向上」「高強度運動の持続時間増加」が望めるのとの報告もあるため、まずは短期間で導入してみて変化を見てみるのも良いですね!

回復が遅くなるリスク?

今まではトレーニングの直後に糖質を補給することで、「筋グリコーゲンの貯蔵量が増加する」「筋肉の回復が早まる」と言った主張がされていました。
運動後24時間で補給すれば問題ないのか、それとも直後に摂取するメリットもあるのか、そのような点についても研究結果が確定したわけではないです。
導入する際は、自分の体調の変化に注意深くセンサーを向けましょう!

明言されていた訳ではありませんが、「筋グリコーゲンの貯蔵量」に関わるのがGLUT-4(糖輸送体)の量であるとも考えられています。従来は「練習後に糖質を補給することで貯蔵量が増える」とも言われていましたが、今回の筋グリコーゲンを少なく保つ方法で糖輸送体を増やすことで、筋グリコーゲンの貯蔵量が増やせるとも考えられます。

まとめ

最近ではスポーツ科学も進み、どのような細胞・分子を活性化させれば持久力を高められるかということが明らかにされつつあります。

その方法の1つとして注目されているのがAMPKの活性化であり、筋グリコーゲン量をコントロールしてトレー二ングを実施することです。

  1. 筋グリコーゲンを蓄えて高強度練習を実施
  2. 夕飯では糖質を摂取せずに筋グリコーゲンが低い状態を維持(AMPKの働きが活性化し続ける)
  3. 朝食前に低グリコーゲンで低強度のトレーイングを実施
  4. 朝と昼はしっかり食べる

いくつか注意点もありましたが、短期間でも効果があるとの報告もあるため、短期間でチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

筋グリコーゲン不足時の筋タンパク質分解防止にBCAA!

私は朝練前にグリコーゲンを取らず、バターコーヒーで練習するスタイルです。

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参考文献

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