【ロードバイク スキルアップトレーニング】上半身と関節の使い方からペダリングを見直す!

こんにちは、パパサラリーマンのTK(TK@パパサラリーマン)です!

今回のレビューは『ロードバイク スキルアップ トレーニング』!

ロードバイクの「スキルアップ」というと、以下のようなトレーニングを想像する人が多いのではないでしょうか?

  1. 8の字走行
  2. 走りながらボトルを拾う
  3. カーブをリーンアウト・リーンイン・リーンウィズで曲がる

この本は、そのようなライディングテクニックのドリルは取り扱っていません
というか基本的にバイクに乗った状態でのドリルでなく、陸上でのドリルです。

記載されているのは上半身の扱い方から股関節を中心とした効率的なペダリング

  1. パワートレーニングやインターバルはしているけど上半身の使い方はよく分からない
  2. 乗っていると肩がこる
  3. 膝や腰に痛みが出る

このような方は本書を読んで、体の使い方について知識を得てみてはどうでしょうか?

ロードバイク スキルアップトレーニングの考え方

速くなるために必要なこと

自転車は機材競技です。

速くなるためには、大きく分けて2通りの方法があります。

  1. 機材をアップデートする
  2. エンジンとなる自分の体をアップデートする

しかし、機材のアップデートには限界があります。
また、高級な機材は剛性が高くなるので、フォームの「ブレ」を吸収してくれなくなり下手に乗ると膝などに痛みが出る可能性もあります。
さらに、プロの速度域を想定しているので、スピードが出せなければ横風に煽られるだけの可能性もあります。

でも、自分の体のアップデートは、きちんとやれば必ず成果につながります。

スキルは必ずしも速さに直結しない

確かにスキルアップによって、パワーのロスがなくなったり、大きい筋肉が使えるようになることによって速くなる人もいます。

しかし、最終的に速くなるために必要なのは、高ボリューム・高強度のトレーニングです。

じゃあ何でスキルアップトレーニングが必要なの?

ヨメ

パワートレーニングしようよ!More power!!

息子

TK

きちんとスキルが備わっていないと、いつか故障に繋がったりするんだよ…

最近はパワートレーニングの機材が安くなり、知識も一般に広まってきているので、エンジンの出力強化はしやすい時代になりました。
でも不要なギアが動いていたり(使わない方がいい筋肉に負担がかかっている)、シャフトが歪んでいたり(体幹が安定しておらず力がブレる)したら、せっかく鍛えた出力もうまく活かせませんよね?
下手をしたら故障につながるリスクもあります。

ご存知の通り、故障で数週間トレーニングを中断するのは、大きなマイナスになります。
下手をしたら1年棒に振ってしまう人もいますよね…

ロードバイクは比較的故障しにくいスポーツですが、それでもゼロではありません。
特に、パワーが上がってきたり、高ボリューム・高強度のトレーニングを行えばリスクが高まります。
そうならないように、エンジンのパーツを1つ1つブラッシュアップし、せっかく鍛えた出力を十分に発揮できるようにする必要があります。

なぜ故障するのか?

原因の1つが「体を正しく使えていないこと」と言えます。

例)

  1. 上半身がブレているから、膝や足首でそれを吸収しようとし、無理な負荷がかかるから痛める。
  2. 上半身を支える胸・腹・脇腹などの筋肉を上手く使えないため、腰に負担がかかり痛める。

実際に膝や腰に痛みが出たことがある方も多いのではないでしょうか?
また、特に痛みが出ていなくても、局所的な疲労が出るなど上半身の適切な使い方ができていない人は読んでみる価値があります!

ロードバイク スキルアップトレーニングの構成

エンジンをチューンナップする

大きく5章で構成されています。

1章で本書のスキルを磨くことの必要性、2〜4章で26個のドリルを行います。
5章は…正直おまけ程度だと感じました。笑

1.遅い理由を知る

本書で重要なキーワードが3つあります。

  1. 関節の代償
  2. 全身の連動
  3. 固定でなく安定

1.関節の代償

関節の代償とは、人間の体には動かしやすい関節があるのに周りの関節が肩代わりをして動くことです。
前屈をするときに股関節から曲げるべきなのに腰椎から曲げようとする、ペダリングも股関節が主体であるべきなのに膝や足首を必要以上に動かす、などですね。
一番動かしやすい関節を使わないと、可動域が狭まる・動きが効率的でない・故障の原因になるなど様々なデメリットがあります。

そうは言っても、動きって簡単に変えれないじゃん…

ヨメ

TK

だから順番にドリルを実施して使えるように意識づけていくんだね!

2.全身の連動

全身の連動とは問題のある部分があっても他の部分が補うことでバランスを取ろうとすることです。
例えば、立っているときに極端な猫背になってバランスが悪くても倒れたりしませんよね?
足首などに力が入ることで補正していると思います。

1つ実験をしてみましょう。
腕を真横に水平に伸ばした状態から、肘から先を上向きにしてください(写真左)
そこから、腕を前方に持ってきてください(写真右)

力まずやっていれば普通に往復できるかと思います。

ではその状態で、往復しながらこぶしを強く握ってみてください。

動きが悪くなりませんか?
私の場合は右手でやっているのに左の肩甲骨の辺りに張りまで感じてしまいました。
腕を前後に往復させているのはこぶしよりも体幹側の筋肉なのに、こぶしを握ることで動き全体が悪くなる

これと同じことが、ペダリングでも起こりうるんです。
臀部などの大きい筋肉でペダリングしようとしても、末端側に不要な力みがあり動き全体が悪くなる
また、上の猫背の例のように、上半身のバランスの崩れが末端に不要な力みを誘発することがある。

つまりペダリングのスキル向上をしたければ、主動筋やメインとなる関節だけでなく、全身の補正が必要になってくるんですね!

3.固定でなく安定

固定とは力を入れて固めること、安定とは最低限の力で「動かない」状態を作ることです。
全身に力を入れて立っていても、押されたらフラつきますよね?
これでは安定とは言えません。

ペダリングでも重要なのは、上半身の必要な部分にだけ力を入れて「安定」した状態を作ることで、2の全身の連動による力みをなくすことです。
ペダリングの効率化には体幹の安定が欠かせないということですね!

2.プランク状態を作る

これまでの話を踏まえ、まずは体幹の安定からドリルを行なっていきます。
ドリルは1番から順番にマスターし、それまでのドリルが身についていることで新しいドリルが意味をなすようになっています。

とは言っても私の場合は常に1つのドリルしかやらないより、同時期に1→2→3と複数個連続でやるようにしています。
1週間で1番をマスターしても、2週目は2番からやるより、1番を少しやってイメージを思い出してから2番をやる方が効果的なドリルが実施できそうだと感じました。

ちなみに、26個のドリルのうち5つだけが2章に属しています。
呼吸法から胸の筋肉の使い方、基本となるプランク…
(プランクも私がやったことがあるものとはずいぶん考え方が違いました)

数としては少ないのですが、3章・4章では上半身の安定ができた状態を維持しながら動きをペダリングに近づけていくので、基本であり最も大切な5つとも言えます。
きっちりマスターして先に進みましょう!

3.ペダリングへ近づける

近づけると言っても、バイクに乗ったドリルではないのでペダリングはしません。

本書ではアイソメトリック(関節動かさないで筋肉に力を入れる)からコンセントリック(関節を動かす筋肉の収縮)へと移行していきます。

まずは使う筋肉を意識できるようにするんだね!

息子

TK

筋肉を使えるようにして、それから動作へと発展していくんですね!動かず筋肉が使えないなら、動きながら使うことはより難しい…

この章には6〜15のドリルが属しています。

8番目のドリルではやっと通常のプランク…
今までは「背中をまっすぐに・地面と平行に」と聞いていましたが、本書でのポイントは「胸・背中・臀筋など体幹全てを使うこと」。
負荷を分散することで、長時間維持できるようになります。

その他、臀筋や股関節の使い方にも意識を向け、プランク状態を維持しながら動くメニューが出てきます。
再度述べることになりますが、プランク状態を維持できていなければドリルの意味がなくなってしまうので、1〜5をまずマスターすることが大切なんですね!

4.全身のバランスを整える

この章には残りの16〜26のドリルが属しています。
18番目のドリルではデッドリフトが出てきますが、こちらもメインの目的は筋トレではなく、プランクを維持した状態での股関節の伸展と臀筋の活用を意識づけること。

また、20番目のドリルではこれまでの集大成としてやっとスクワットが出てきます。

TK

逆に言えばここまでのドリルをこなして、やっとペダリングに活かせるスクワットが実行できるとも取れますね…

胸の筋肉を意識してプランクを維持、股関節の屈曲・伸展など、これまでやってきたことが必要です。
逆に言えばスクワットがきちんとできればこれまでのドリルを復習しつつ強化もできる、時間効率の良いトレーニングとも言えますね!

21〜26では片足づつの動作など、さらにペダリングに近づいたときにも骨盤を安定していく動作に入っていきます。
ここまでこればあとは細かい仕上げですね!

5.もっと速くなるために

ここにはもうドリルはなく、トレーニング論のようなパートになってきます。

  • 速くなるためには走りこみが必要、走りこみのためのスキルトレーニング
  • 正解と言えるフォームはないが、明らかに不正解なフォームはある
  • ケイデンスを上げる時書いていこうが増えるので限界がある、トルクを鍛えよう
  • シッティングはペダルを使ったダンシング

トライアスリートの注意点

本書は、基本的にロードバイクのスキルアップ本なので、ほぼ全てがシッティングでのポジション(最後に少しだけダンシング)の話になります。

つまり、トライアスリートでメインとなるTTポジション(DHポジション)の話は一切出てきません
(表紙はTTなんですけどねw)
実際にはドリルを1つずつできるようにして、上半身の安定が上手くできるようになって来ると、TTポジションになっても局所的にに負担がかかることもなくなり維持できる時間が長くなります。

基本がわかっていれば応用はできるのですが、5章のトレーニング論よりもTTポジションやダンシングについてページを割いてくれた方が嬉しかったかな?というのが正直なところです。笑
(まぁTTポジションやダンシングについて語り出したら数ページで済まないのでしょうけど…)

まとめ(ロードバイク スキルアップトレーニングの評価)

自転車は機材競技なので、確かに機材投資でもタイムが短縮できることも多々あります。

しかし、やはり速くなるために必要なのは自分自身のアップデート
パワーや心肺能力を強化するための走りこみは必須になるのですが、それを支えるのが本書のスキルアップトレーニングです。

  1. 上半身をうまく使えるようになることで、末端の力みをなくす
  2. 末端の力みがなくなることで、ペダリングやハンドリングの動きが良くなる
  3. 動かしやすい股関節を中心としたペダリングで、膝や腰の故障を予防する
  4. 故障を予防することで、よりハードなトレーニングを継続できる

さらには上半身のいろいろな筋肉を使って安定した状態を維持できるようになることで、局所的な疲労がなくなり、トライアスロンでもTTポジションが長く維持できるなどのメリットもあります。

ドリルの数は26個と多めですが、一つ一つマスターしていくことで鍛えた出力を十分に発揮することができるようになります!

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